通信状況調査。





派遣仕事をはじめて間もない頃、1週間の短期の仕事なんですが、と紹介されたこの仕事。通信状況調査?何するんですか、と訊ねた私への説明は、「事務所で電話を受けて、通話状況をチェックして頂くお仕事です。」っていわれても。とりあえず、何をするのかさっぱり判らないまま、興味本位で受けてみたんですが。

指定された待ち合わせ場所に行くと、派遣会社の営業さんと、同じ仕事の為に集められた20代の女の子が10名ほどいました。よろしくおねがいします、と、皆で派遣先のリサーチ会社さんへ向かったのですが、事務所に着くと、そこには10名ほどの男子がスタンバイ。ん?

ここでやっと、企業さんから詳しく仕事内容の説明が入ったのですが。携帯電話などの通信機器の電波状況を調べるための仕事。その方法は。携帯端末を持って指定された区間(コース)を歩く男の子と、事務所内にいる女の子がペアになって通話をする。電波が切れたらその場所を地図上にチェック、また、区間を移動中の通話音声がクリアに聞こえるか、雑音が入るかどうか等の電波状況の評価チェックを行う、とのこと。つまり、仕事内容のメインは、一日中ペア同士でしゃべってろ、ということになるわけです。

仕事内容が判ったとき、女の子側にいやーな空気が。理由はなんとなく想像がつくかと思うんですが、なんつーか。男子側って、派遣ではなくその企業が直に募集したアルバイトの方たちだったんですけどね。…キツイ。下は学生から上は40代(と自分で言っていた)、10名ほどのうち、普通に話ができそうな20代前半男子3名ほど。大多数は・・・なんつーのかなあ、ストリート系じゃないジャージ率高し。いや、ファッションはこの際(電話だしね)どーでもいいのだが。話とかできるのかなあっていう、怪しい空気が醸し出されてるわけですよ、みんな。単にシャイな人もいたんだろうが。そして問題が。40代というリーダー(と、女の子は皆呼ぶようになっていた)。皆を仕切りたがる最年長。だけど携帯電話の使い方を知らなかった男。その刺繍入りトレーナーは今時どこで買ったんだ?(だから服装はいいんだけどさ)うーん。

私のペアの相手は、幸いにも23才の普通の男の子でした。写真やりたくて取り敢えずバイトで食ってるんだというタイプ。初日から話は盛り上がり、趣味の話から彼女の話、果ては、「実は今悩んでるんだけどさ、妊娠したかどーかは何日目から判るんだ?や、ゴム破けちゃってさ。」などという話題にまで発展し、(食らいつく私もどーかと思うが)一週間楽しく過せたんだけど。他の子は大抵、2日目から悩んでましたね。もうしゃべることないよって。年齢とか、どこに住んでる、とか、もう聞いちゃったしー。なんか、今何が見えますとか、そんな話しかしてないよー、という状況になるらしい。私は初日からずっと、大笑いしながらタメ口で話していた為、「知り合い同士?」とか聞かれていました。違います。

女の子もシャイなタイプが多かったとも言える。25才の女の子が、22才学生(普通に遊んでそーな子だった)の相手をするのに、「いや、もう話題についていけなくって・・・世代差を感じるわー」と困っていたのを聞いた時はビックリしたが。いいのかそれで?いや、間違ってるのは私か?初対面の相手に馴れ馴れしすぎるのか?リーダーと組まされた女の子は怒ってました。皆さすがに同情して、「ペアの相手を交代制にしては」とか提案したのだが、「うーん、通話状況を確認するには、同じ相手の方がいいからねえ」というクライアントの趣旨により却下。かわいそうに、一週間、口説かれては容赦なく断る、という繰り返しだったそーです。調査が調査だけに、「あ、電波悪いみたい〜」とか言って電話切っちゃうわけにもいかないしな。

そもそも、こんな仕事、もともとペア同士で募集すればいいんじゃないかという気もしますが。友達同士とかさあ。と思っていたのですが。最終日、クライアントの担当者(人のよさそうなじーちゃんだった)いわく、「最終日ですからね、個人的に連絡先聞いておきたい人は今日のうちですよ。いままで何度かこの調査をやりましたが、この仕事から生まれたカップルがいます!」…さては、てめーの趣味だな。女の子はこのセリフに皆、え〜っ、(喜怒哀楽でいうと怒に近い声)と驚いていましたが。カップルは生まれなかったよーでした。私も、連絡先はお互い聞かずに、じゃーねーと仕事を終えました。

短期派遣仕事って、時々妙な仕事に出会った話とかを聞くけれど、こんなのはハジメテでした。派遣をやってる子に話しても、皆、そんな仕事あるのー?!とびっくりしていた。まだやってんのかなあ、この仕事。

2003/09


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