ゴーストライター。

>>音楽仕事。





ウェブログ@ことのはさんで書かれていたゴーストライターとは何者か(続編アリ)を読んで、思い出したんですが。「ゴーストライター」というと、文書を書く作家さんを想像される方が多いかと思うんですが、音楽業界にも「ゴーストライター」というのは存在します。作曲家のゴーストさんですね。以前、知人に何気なくそんな話をしたところ「ええっ、ゴーストが存在するの?(本人が作ったんじゃないのかよ)」と否定的に驚かれ、ああ、あまり知られていないこと且つよくないイメージなのかと気づいたんですが。

そのときの私も「漫画家さんがアシスタント使うよーなもんだよ」と説明したんですが、いや、漫画家さんの仕事がどんなのかを実際知ってるワケじゃないのでテキトウなんですが、でも「ゴースト」という仕事は、音楽業界においてもやはり、良い意味合いも必要もある仕事であると私は思っていました。ので、その辺を少し書こうかと思います。

自分ではなくゴーストが(譜面を)書く・作る場合でも、それに全く関与せず他人が創ったモノをそのまま自分の名前で発表しているという作家さんはまずいない、少なくとも、私が知っている作家さん達にはいなかったと思います。まず、そのゴーストさんが「自分のテイストを模倣したモノを作れる技術を持っているか」という判断からはじまり、打ち合わせ・手直しの繰り返し、場合によってはまるきり作家による作り直しになることもありました。私は、どっちかというと、「ゴーストという仕事を与えることで無名の作家さんや作家志望のヒトを育てている」という意味合いが強いような印象を持っていました。

作曲仕事の場合、ドラマやアニメや映画やなんかのBGM(ちなみに劇伴と呼ばれます)などの仕事だと、一度に数10〜100以上の曲数を作るコトになるので、そんなときにゴーストを使われる方が多かったです。で、同じゴーストを長く使われる方が多いのですが、だんだん「ゴースト」にまかせられる部分が多くなっていくと、「アレンジ」とか「オーケストレーション」とか「一部の曲の作曲」とかを切り離して、ゴーストとして書いていた人に任せる(この場合、当然「アレンジャー」「オーケストレーター」「作曲家」などとして、その人の名前が出るコトになります。印税も発生。)というパターンが多かったように思います。無論、その限りではなく、ゴーストを続ける間もなく個人で取れる仕事が増えてゴースト仕事を辞めるヒトや、ゴーストとしても使えないと判断されて仕事を回してもらえなくなるヒトなどもいましたが。

ゴーストをやってる作家さんにとっては、「本来自分の名前で取れない仕事」に関わることで「勉強ができる」のはもちろん、「それなりのコネができたり、それなりの実績にもなる」というような利点があるのではないかと思います。もちろん、それなりの金にもなる。一方で、ゴーストを使っている作家さんは、やはり名前を出している以上、全ての責任は自分にかかってくるワケで、というコトを熟知した上でヒトを使っているのだと思います。「有名」であることってタイヘンなんだなー、と、他人ごととして思ったり。

あと、えーと、例えば、アイドルのヒトなんかが「私が曲を作るー」とか言い出した場合ですね、ごにょごにょ。普通「ゴーストライター」とか聞いたときにイメージするのってこの辺なんですかね。でも、「他人がまるまる作ったモノをアイドル(例)の名前で」とかいうコトは、ヤハリ、まずないと思います。アイドル(例)が作ったモトの曲を前にして「ううっ、コレをどーしろというんだ」と悩んだヒト達が「ここの部分はこうしませんか」「そこは変えられないわ」「じゃっ、じゃあ(せめて)こんなカンジで」などという試行錯誤を繰り返すことはありますが。と茶化して書いてますが、この場合でも、あくまで「作り手として名前が出ているヒトが作ったモノである」というコトです。モノ作ってるヒトというのは、たぶん、部外者が思っている以上に真摯なのではないかと思います。

「名前」を出さない仕事、というのは多々あるもので、むしろ「名前が公に出る・残る」仕事、の方が稀ではないかなと思いますが。名前が出ない仕事というのは、「名前」以外の価値があるのだと思います。「ゴーストライター」というのも、充分にいろんな価値があるプロの仕事である、と私は思う。

2004/03


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